トップダウン処理による 英語の音声聴解
英語のリスニング法に関しては、聞いた内容を意味理解するためのトップダウン処理と、音の最小単位である 音素や、音節など、単語より小さな 単位の音を確実に聞き取る 音声知覚を重視する ボトムアップ処理 の能力の 合計が、言語聴解力である と言われます。
例えば、英語のテレビ番組で、天気予報のナレーションを聞いた時、視覚から入る天気チャートも含め 意味を理解するため、知らない単語を推測する力も ある程度は備わっていますし、全部の音を聞き取れなくても、傘マークがを視覚から認知すれば、"悪天候について話すのだろう" という予測がつきます。 これが 典型的な トップダウン方式のリスニングと言えるでしょう。
一方、知らない人から 唐突に話しかけられた場合、相手が話しかける目的や、前後の出来事が 推測できないため、話しの全体的な意味の理解という、高次の認知処理ができない。 そのため、これを聞き取るには 、音節から使われている 単語を想定し、意味理解に繋げる ボトムアップ処理のリスニングを行うことになるでしょう。
トップダウン処理のリスニングでは、意味理解の自動化を促進することを 目標とします。 そのため、文字言語の読み取り(リーディング)の速度と、意味把握力を向上させれば、音声言語の聴解にも 好影響があらわれます。 また、ある特定の分野の 英語ニュース を毎日 日替わりで聞き(例 英語の天気予報を 毎日聞く)、都度 知らない単語の意味を調べ、暗記することによって、その分野の話題での 聞き取り力と、スピーキング力が 向上します。
その他、短期記憶を保持しする ワーキングメモリ(認知容量)を増やすことによって、一度に処理できる情報量が増え、より長く、より難解な音声文章の意味が理解できるようになります。
まとめ
- リスニングと一口に言っても その過程はたいへん複雑であり、同レベルの習熟度とされる学習者であってもそれぞれの学習者が直面している問題は多様で異なります。 各受講者さまの 弱点を、トップダウン方式、または ボトムアップ方式の聞き取りで試し、解決策を 模索しましょう。
- 学校で行う リスニング学習の大半は、トップダウン方式のリスニング力の向上を目指すものですが、聞き取れない音に関しては ボトムアップ方式を意識した学習を取り入れ、総合的な 聴解力の獲得を目指します。
- トップダウン方式のリスニングでは、短期記憶の力が重要になります。 言語情報の 処理や 保持を行う ワーキングメモリの容量を推測するため、1センテンス単位のディクテーション(書き取り)や、リピーティング(聞いた英文を暗唱する)などの 学習法を取り入れることも有効です。
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