* この記事は MyPace English (MPE) の英会話講師向け 研修資料と 講師との対話の 一部を 抜粋・編集したものです。
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ボトムアップ処理の リスニング法について考える
私たちは 英語のリスニングを学習する際、センテンスがある程度 まとまった ダイアログや、説明文のような 英語ナレーションを聞きます。 そして、この音声内容は、何のトピックについて語っているのかを 推測し、次に聞こえてくる 意味内容を 予測しながら 聞き取る。 意味理解のための トップダウン処理の リスニングを行う機会が 多いと思います。
リスニング学習では、音声知覚があり、そして 意味理解へと 繋げて行きます。 そして、英語の実力が 上がるにつれて、音声知覚の能力は、無意識のうちに行われるようになるので、意味理解に集中する、トップダウン処理のリスニングに 力を注ぐことは理に適っていると 思います。
ただ、日本人の 場合、"何年英語を学習しても、アメリカの映画のセリフ や、テレビのトークショーの内容の 音声が知覚できないという人が多い。 知っている単語ばかりで構成される 聞き取りができない 場合、これは 音声知覚に課題があると言えるでしょう。
視覚から入った文字であれば、難なく 意味理解できる文章が、音声となると 聴覚で意味理解ができないという 学習者の方は、音声知覚を意識した ボトムアップ方式の リスニングに 課題があるのだと思います。
ボトムアップ処理とは、まず 音声の最小単位である 音素を知覚し、音素が集合した 音節を聞き取り、単語の音声と意味が合致し、センテンスの意味理解に繋げていくという、単語より 小さい単位の音を しっかり 聞き取る 能力を 意味します。 そして ボトムアップ処理と、トップダウン処理の両方を合わせ、初めて 英語の聴解能力が、向上に向かいます。
ただ、ボトムアップ処理が自動化されていない場合は、音が十分に聞き取れないので、前後の文脈と結びつて 意味を推測する 力が作動しない。 そのため、英会話の実践の現場で、相手の質問が 聞き取れず、英語で返答する スピーキング力が 発揮できないという 大きな障害に突き当たってしまう。 これを克服するためには、英語音声を より細かい単位で 聞き取りための、知識収集と演習が必要になります。
まず、音声学の面から考え、英語の音素をフォニックスを用いて、正しい音素単位での発音を覚え、長期記憶に定着させることが必要です。
ただ、音素は他の音素と 結合すると、綴りの法則よりも 音の滑らかさや リズムを優先して、音が変化するため、センテンス単位の リスニングをまず試み、自分とは違うように 発音されている部分を把握し、自分の発音を改善する 韻律面からの
アプローチも必要となります。 洋楽の歌詞は 会話と比べ、言葉の響き具合(滑らかさとリズム)を大切にするため、 英語の 音変化と リズムを身につける演習として 効果があると 言われています。
まとめ
- 音声知覚に課題のある方は、ボトムアップ方式の リスニング演習法を 加えることが大切です。
- ボトムアップ方式のリスニングでは、音声学、音韻論の知識も一緒に身に付けると、論理的に 自分の聞き取り上の 弱点が 明確になると思います。
- 朗読ナレーションよりは、洋楽リスニングの方が、より自然な英語発音(滑らかな音の結合と リズム)の参考として 役立ちます。
関連する情報
閉音節 (Closed Syllable)韻律 (Prosody)
音声学 (Phonetics)
ボトムアップ処理の リスニング (Bottom-up Listening)
トップダウン処理による 英語の音声聴解 (Top-down Listening)
フォニックス (Phonics)
言語間距離 (Linguistic Distance)