音声知覚の運動理論(モーター・セオリー) - 正しく発音できれば、その音は聞き取れる
日本人は、英語のリスニングを苦手であると 言われますが、その理由として 英語独特の音の変化、リズム、ストレス、抑揚など様々な原因が挙げられます。 しかし、具体的には、どんな単語が聞き取れないのでしょうか?
もちろん 知らない単語は、音声知覚が難しい。 例: 未知の固有名詞(街の名前や、人の名前)や、日本語のカタカナ読みとは 異なり音印象を持つ 固有名詞: 例(Montreal = カナダのモントリオール)などは、文脈から外して 聞き取ることは 難しいと感じる人が多いでしょう。
一方、音節が4つ以上になると、基本的に3つ目の音節にアクセントが来ることは、日本人にも分かりやすい。 例) In-for-ma-tion の 音を 聞き間違える人 は少ないでしょう。 ここで言いたいことは、聞き取れない 音素、音節、音声変化は どんなものなのかを 知り、その聞こえない音の 特徴を把握することが 大切です。
そして、日本人英語学習者にとって聞き取りが困難な音 例: 音素(R - L) 、音節 (Want - Won't) は、聞き取りだけでなく、正しく発音ができていない という点に着目してください。
言語学には、自分が正しく発音できれば、その音は聞き取れるという、アメリカの独立研究機構であり、言語の音声知覚の分野で、国際的に評価されている ハスキンス研究所 音声知覚の運動理論(モーター・セオリー) (The Motor Theory of Speech Perception)があります。 言い換えれば、自分の発音が正しくないから、その音が聞き取れないのです。
ここで使われる モーター = Motor とは、生理学で 筋肉運動を意味します。 相手の発音を聞くと、自分がその音を発音する時に、どの筋肉を動かすかを覚えていて、その記憶を基に、聞いた音を認識しているというセオリーです。 参照 (外部リンク) The Motor Theory of Speech Perception
私たち日本人は、ひらがなで "あ" と書いてあれば、視覚で その音をが "あ" であると 確認できる。 そして、"あ" と聴覚で 聞けば、"あ" と口唇を使って発話できます。 このように 文字認知、音韻符号化 (phpnetic coding) のプロセスの高速化・自動化することにより、英語のインプットである "読む" と "聞く" の 実力が 同等になるのです。
これと同様に "A" と言う文字の 音記憶を、長期記憶に定着させれば、"A" と言う 音が発話出来ますし、"A" と聞けば 、"A" と書くことができるようになります。 ここで注意したい点は "A" の発音は、最低でも4種類を覚える必要があることです。 例: Apple, Able, Admit, magicAl の"A" の音は全て異なります。
ただ この課題は、 "A" の音の 4つの調音法を理解するだけでは、解決しない。 各音の、"音の長さ" が異なる点への 着目が大切です。 そのためには、英語の 強勢拍リズムと、日本語の
次回は 日本語特有の モーラ拍リズム について、お知らせしたいと思います。
まとめ
1. 英語が聞き取れない(インプットできない)ときは、その箇所の発音法(アウトプット音声)に、問題があると考えます。
2. 日本人が 英語の聞き取りで 苦手なのは、音声知覚である。 音声知覚と意味理解を分けて考えます。
3. 英語のインプットである、"読む" と、"聞く" の能力を、限りなく同レベルに保ち、どちらも、"インプットの自動化" を目指すことが、英語学習の目的となります。
関連する項目
モーラ拍リズム (Mora-timed Language)強勢拍リズム (Syllable-timed Language)
英語の強弱、日本語の高低 (Stress- and syllable-timed Languages)
音節 (syllable)
音素 (phoneme)
発音記号 (phonetic symbol)